多職種連携で必要な3つの基本姿勢を守る
【私】という個人の経験・価値観で【他人】の人生に関わっていく時に一番大切なのは【私を知る】ということ
多職種連携の基本その1
他者を理解するという過程の中には、自分独特の考え方の癖を知りその癖を持って生きてきた根底を認知して肯定するようになります。そして【私らしさ】を尊重されることの喜びを知り、同じように他者にもその喜びの姿勢で接したくなる。それが順番です。この過程を飛ばして他者を理解しようとすることばかりに集中すると、いつしか[なんで自分ばかり]という拗ねた抑圧した感情が湧いてきて、その感情を抑圧する思考が現れて、思考と感情に挟まれた行動に不一致がみられるようになってしまいます。【私】を知ることで、違いにも感情にも気がつくことができる。それが他者理解の第一歩です。
多職種連携の基本その2
在宅多職種連携がうまくいかない原因の一つに、自分の専門分野の見方、考え方しか理解できていない。と言うことがあります。
医者は、病気の事、体の事、治療を決めていくことのプロフェッショナル。
薬剤師は薬の効用のプロ。薬剤師は医師より薬の困ったを相談するには頼りになるすごい味方。
看護師はその人の人生と生活とを身体の情報と組み合わせるプロ。患者さんだけでなく、その患者さんと共に生きてきた家族や影響を与える人たちの環境特性も広くみることができるので、医師や薬剤師に情報を提供しながら、いわゆるマニュアル通りにはいかないことを個別性にカスタマイズするファシリテートに役立ちます。
理学療法士は体のプロで、作業、運動、言語の専門家に分かれそれぞれが生活で困らないようにどの機能を改善したり、どんな福祉用具を使えばいいのかを考えています。
ヘルパーさんは生活を管理するプロでゴミの量やトイレの汚れ、ご飯の消費をみながら一番近くで直接助けてくれる人。だから利用者さんとご家族と信頼関係を築きやすい立場にいます。いつもとの《違い》にいち早く気づくことが出来る連携に欠かせない存在です。
ケアマネはその専門職を集めて点数管理し、それぞれの仕事の配分比率を決めるプロ。いわば発注書を握っているのでそのオーダーをいかに顧客に合わせたオーダーにして、どんな会社の参入を声をかけるか?が仕事です。
その他にも福祉用具やデイサービス、デイケア、ショートステイ、ボランティア、輸送サービス、入浴サービスなど様々な職種が介護サービスに関わっていて、その患者さんが医療や福祉を利用していると更に職種が増えていきます。どの職種が、どんな目線で問題解決優先度を決めていても間違いはないのだけど、その優先度はひとりの人(患者さん)のことなのだから職種ごとの優先順位を患者さん中心のものにしなくてはいけません。ケアマネが管理する給付点数の中で収まるように優先度と工夫をどれだけ提案できるかが?専門職の力量にかかっています。
全ての職種に聴く力、伝える力のあるチームは素晴らしい案が出てくるし、給付管理をするケアマネも点数配分がしやすくなるのですが、現実はそうではないことを知っているのも我々専門職。
それぞれが意見を言える横の関係を築く。そのためには自分の職種と同じように相手の職種を尊敬する。
これは反対にいえば、自分の職種にプライドを持てるようにしないと同等の立場を築くのは難しいです。
相互尊敬・相互信頼をモットーとして、ケアチームを仲間として築いていく。
これは欠かせない要素です。
多職種連携の基本その3
大抵の患者さんやご家族は、その優先順位が誰が一番得するように回っているかに気付けません。
本来の患者さんやご家族が一番中心に考えられたケアプランで、信頼のおける専門職がサポートに徹すれば
信頼できるケアチームに支えられた患者さんとご家族は安心して自宅療養することが出来、その人達らしい在宅療養に納得できるので医療者や介護者に余計な依存やクレームもなくなります。
巡りめくって仕事がしやすくストレスのない仕事・職場となるので私たちが楽しく働けるようになるしいいことづくめ。アドラー式のコミュニケーションを学ばない手はないと思います。